Review



Saul Goodman (ソール・グッドマン、 ニューヨーク・フィル主席 Timpanist)


Tatsuo Sasaki was under my musical supervision and instruction at the Juilliard School of Music for two and one half years. I found him to be an extraordinary musical talent. His fine sense of rhythm coupled with a keen sensitive musical ear put him in a superlative classification. He is a rare percussionist, an excellent timpanist and a virtuoso soloist on the marimba. He is not only a credit to the country of his birth but a player who has made a great contribution to the art of percussion playing.


佐々木はジュリアード音楽院で2年半私のもとで音楽を学んだ。 佐々木は並はずれた音楽の才能の持ち主である事がわかった。 彼の洗練されたリズム感と鋭敏、繊細な音楽性を持った耳とは相俟って彼は最上級の格づけを得ている。 彼は稀にみる優れた打楽器奏者であり、卓越したティンパンニ―奏者で、そしてマリンバ・ソリストのビルチュオーソ(音楽の巨匠、名人)である。 佐々木は母国にとって名誉な存在であるだけでなく既にパーカッション演奏としての芸術分野に多大な貢献をしている。



間宮芳生 (作曲家、音楽評論家) 朝日新聞掲載批評(1971年4月3日)より

まぎれもない才能 [佐々木達夫・打楽器演奏会] 


 まぎれもない才能の登場に立会うのは楽しいものだ。三月三十日に、異色的なリサイタルを開いた打楽器奏者佐々木達夫の場合をぼくは言っているのである(東京文化会館小ホール)。    アメリカのジュリアード音楽院で二年学び、その後、イスラエル・フィルのメンバーとして活躍して帰国した佐々木だが、打楽器演奏者の場合、アメリカやヨーロッパでどれほど高度なレッスン(殊に技術的な)が期待出来るのか、ぼくにはよく分からない。 が、少なくとも、彼が強く執着しているシロフォンの場合、師を見つけることはほとんど期待出来ない事なのではあるまいか。 しかしその通りだとしても、むしろそのために、自分にとって音楽とは何かをより深く考え、ヨーロッパ音楽の本源をなすものに、じっくり耳を傾けることが出来たかもしれない。 これはぼくの想像でしかないのだが、こうした想像をぼくにさせたのは、いうまでもなく彼の音楽なのだ。  打楽器奏者にとって、鋭敏なリズム感覚は当然の資格だろうが、それが機械的なそれに止まらず、たとえば、シロフォンで演奏された冒頭のバッハの無伴奏バイオリンのパルティタ第三番での、微妙なテンポのゆれが実に自然な音楽の流れを生んでゆく。 それは生きたリズムだ。 そこまでは彼の天性の音楽的資質と言ってよいのだが、加えて音色、ディナミ―ク(音力)と結合して、心のこもった音楽の豊かな息づきとなっている。 この日最後に同じシロフォンで弾いたプロコフィエフのよく知られたフルート・ソナタの、はつらつとした楽しさと共に、作品への読みも深い。 ピアノの田中よう子も好演。  この二曲にはさまって、ティンパニー、ビブラフォン、シンバルその他各種の打楽器を駆使する三曲が、演奏会に楽しい変化を与えた。 それらの、スターン、グッドマン、ミハロビッチの三人の作曲家とも、ぼくにははじめてきく名であり作品であったが、中では、 スターンの「一人の冒険」と、グッドマンの「踊りのためのバラード」が、いずれも楽しかった。 佐々木は、作品として最上のものとは言い難いこれらの曲から、多彩な音色と緊張をひき出し、作品を超える輝きを与えた。  ところで、バイオリンやフルートの曲をシロフォンに移すことの限界を言うのはやさしい。 だが、彼のにぎるスティックから豊かに息づいてくる音楽に遭遇しては、それを言うヤボは不要だろう。一方、ティンパニーその他の楽器での水ぎわ立った演奏も強調されるべきだ。 彼が、今後もシロフォンへの関心にかたよらないでほしと、ぼくは希望する。



上野 晃 (音楽評論家)   音楽雑誌「音楽の友」1971年5月号より


 東京芸大からジュリアード音楽院へ、そして、アメリカ交響楽団やイスラエル・フィルハーモニーの打楽器奏者となり、二年まえに帰国してふたたび芸大に学ぶ、という変わった経歴のもち主だけに、まだ国内では佐々木達夫の名はほとんど知られていない。が、昨年あたりから、現代音楽祭などで他の打楽器奏者に混じって、馴染みのない小柄なこの人の手もとから生じる木琴やマリンバやヴィブラフォーンの音が、気になりはじめた。  今回は、東京における佐々木の初リサイタルであり、デビュー演奏会にもあたるが、それより以前に、この鍵盤打楽器の新しい奏者の、ソフトなタッチ、優雅な音、とくに弱奏音の美しい音色は、有無をいわさず私の耳を惹くものがあった。 今度のリサイタルでも、 もちろんそういった彼独自の音を大いに楽しむことはできたが、音楽をとことん愛し、いつくしむような、そして自立性に富み、雄弁な演奏に驚かされたのである。   プログラムの前半は、木琴の独奏で、選ばれた二曲は、オリジナル作品でなく、バッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第三番」とプロコフィエフの「フルート(または ヴァイオリン)・ソナタ」作品94を木琴にアレンジしたものだが、とりわけバッハでは、無伴奏ヴァイオリンの名作が、木琴によってこれまで気宇壮大にきかれようとは、想像し得なかった。 ポリフォニックな線のコントラストも麗しく、格調の高さも保ちながら、きわめてファンタジー豊かな楽興に打ち抜かれた快演である。 佐々木の恵まれた音楽的テンペラメントは、いっきょに開花したが、後半の打楽器のためのオリジナル作品でも、彼の多面的才能がバランスよく綜合されていたように思われる。  スターンの「一人の冒険」(ヴィブラフォーン、ティンパニなど)では、テクニカルな練磨の上に、きびしい詩的感覚の透徹が、グッドマンの「踊りのバラード」(ティンパニ、吊るしシンバル)では、シンプルなうちにもダイナミックな劇的動きによって、圧倒的な量感が、描きつくされていた。  3月30日・東京文化会館小ホール



Andre Kostelanetz (アンドレ・コステラネッツ、 指揮者)


Mr. Sasaki, xylophone soloist, has performed with me, and I find him to be a first-class artist.


シロフォン奏者、佐々木達夫は私と協演しました。そして彼は一流の芸術家であることを見出しました。



John Green (ジョン・グリーン、 ハリウッド指揮者)


Dear Mr. Sasaki:

First, my thanks to you again for the fabulous performance you gave both Friday and Saturday nights in my arrangement of "I GOT RHYTHM". Never has any timpanist anywhere - - (and it has been performed everywhere) - - played it with such total perfection and style !

(中略)

I shall be looking forward to the next time I shall have the pleasure of making music with you, either in the orchestra or as a soloist. All my best wishes.
                                                      Cordially, John Green


親愛なる佐々木様

はじめに、金曜日と土曜日の夜、私がアレンジをした曲「アイ・ゴット・リズム」でのあなたの素晴らしい演奏にあらためて御礼を申し上げます。 どこにいってもどのティンパニストも - - (そしてこの曲はアメリカ中あらゆる場所で演奏されたのです)- - あのように完璧にそしてスタイル(格式)をもって演奏した人はいません!

(中略)

あなたと共に音楽を作る喜びを、それがオーケストラであれソリストとしてであれ、次ぎの機会を楽しみにしています。

敬具                                                       ジョン・グリーン 署名



Earl Hatch (アール・ハッチ、 マリンバ奏者)


Dear Mr. Sasaki:

First let me tell you how much I enjoyed and appreciated your performance at the Music Center last week. Your playing was superb and I was so pleased at the audience response to your work. The whole experience was delightful.

(中略)

Again my sincere appreciation of your great artistry and my wife joins me in sending good wishes to you.

                         Earl Hatch


親愛なる佐々木様:

先週ミュージックセンター(注:ロサンゼルス)でのあなたの演奏(注:カーカ、マリンバコンチェルト)を私がどれほど楽しみ感謝の念をもったかをまずお伝えしたいと思います。 あなたの演奏は素晴らしくそしてあなたの演奏への聴衆の反応にも大変嬉しく思いました。 すべての体験が喜びに満ち溢れるものでした。 

(中略)

あなたの卓越した芸術的手腕に心から賛辞をお送りします。そして私の妻もあなたに宜しくと申しております。

                         アール・ハッチ 署名



Martin Bernheimer (マーティン・バーンハイマ―、 ロサンゼルス・タイムズ新聞社音楽評論家)


Kurka Concerto (1956) turned out to be a splendid vehicle for a mallet virtuoso named Tatsuo Sasaki.


1956年カーカ作曲の「コンチェルト」は佐々木達夫という鍵盤楽器のビルチュオーソにとって、(演奏を披露するための)壮麗なる手段となった。



Rene Declerck (レネ・デリック、 ベルギー・ブラッセル 新聞音楽評論家)


Dizzying virtuosity of the xylophone attained in pulling from the instrument, the effects of an unheard virtuosity.


目もくらむようなシロフォンの名人芸で楽器から引き出された印象、効果は過去に聴いた事もなかった巨匠の技であった。



O Globo News Paper  (ブラジル、オ・グロボ 新聞記事)


Tatsuo Sasaki - the master of xylophone.


シロフォンの大家 ‐ 佐々木達夫。



Donald Dirks (ドナルド・ダークス、 サンディエゴ・ユニオン 新聞音楽評論家)


To end his program, Sasaki played a transcription for xylophone of the Poulenc Sonata for Flute and Piano. By the time he finished, you almost imagined that the transcription was more agreeable than the original would have been. In addition to Sasaki's consummate musical abilities, it is a positive and unalloyed pleasure to watch his performance, since he literally must dance up and down behind his instrument to play all of the notes from his florid repertoire.


プログラムの最後に、佐々木はプーランク作曲のフルートとピアノのためのソナタをシロフォンに改編して演奏した。 演奏が終った時には、誰しもオリジナルよりも改編のほうが(作品に)よりよく合っているように、殆どそのように感じた。 佐々木の完璧な音楽的才能に加え、彼が演奏する姿を見るのは確実にそしてまじりけのない楽しみである、というのも、彼はその華やかなレパートリーの全ての音を弾く為に楽器のうしろで文字どおり上下に動いてダンスをしなければならないからである。



Harlan Ellison (ハーラン・エリソン、 雑誌 Future Life 記者)


The record I urge you to buy is a most unusual rendering of Bach's Partita No.3 in E Major, Poulenc's Sonata and (this is a stunner) Bartok's Roumanian Folk Dances (originally written for full orchestra) as performed by Tatsuo Sasaki on xylophone, with Howard Wells at the piano. I am not much one for "novelty" renditions of classical works, but Mr. Sasaki's interpretation of the Bartok Dances is, simply put, astonishing. If you crave a singular listening experience I cannot recommend highly enough this album.


私が皆様に是非買い求めるようにお奨めするレコードは、バッハのパルティータ3番、プーランクのソナタ、そしてバルトークのルーマニア・フォークダンス(これこそ絶品)―
(オリジナルはオーケストラ作品)のとても珍しい演奏で、佐々木達夫がシロフォンを、ハワード・ウエルズがピアノを演奏している。 私はクラシック音楽の珍品にはあまり興味がないけれど、しかしながら佐々木のバルトーク、ダンスの曲の解釈には、ただただ、びっくりさせられる。 もしもあなたが何か一曲聞いてみたいと願っているのなら、私はこのレコードをどのように推薦しても、し過ぎることはないであろう。



William Zagorski (ウイリアム・ザゴルスキー、 音楽評論家)


Xylophonist Tatsuo Sasaki displays a variety of touch and a timbral spectrum that would be the envy of many a world-class pianist. His phrasing breathes beautifully in his transcription of Bach's famous E-Major Partita. Rhythmic and dynamic subtleties abound, Bach's brilliant harmonic structures come across with revealing clarity. In the Poulenc sonata Sasaki goes for the quietly jazzily "cool" aspects of the score - flavors lurking just beneath the notes and seldom realized in proper flute/piano readings. The impression is that this xylophone transcription might have been the original, and the flute version, the transcription.

(中略)

The result is a revealing trip through a lot of music I thought I knew -- and a deepened understanding of the term "virtuosity."


シロフォニスト佐々木達夫はバラエティーに富んだタッチと音色のスペクトルを演出する。 それは世界的なピアニストでさえ少なからず羨むものであろう。 彼の息づいたフレージングはバッハの有名なホ長調パルティータ演奏に美しく表現されている。リズムとダイナミックの豊富な精妙さ、バッハの輝かしい和音構成が鮮明に表現されている。 プ―ランクのソナタでは佐々木は静かにジャズっぽく「クール」な面を見せる‐ 香りが音の中に潜んでいて、これは正規のフルート・ピアノの組み合わせではなかなか聴かれない。  印象として、このシロフォンの改編版こそがオリジナルで、フルート版のほうが改編。

(中略)

結果として、自分では知っているつもりの多くの音楽に、(佐々木の演奏を)聴く事で新しい発見をし、また「ビルチュオーソ」という言葉の意味をより深く理解した。